松永康佑

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2026年6月15日 改訂


目次

はじめに

PyMOLは、タンパク質や核酸などの分子構造を可視化するためのソフトウェアである。VMDがMDトラジェクトリの再生や大量フレームの観察に強いのに対して、PyMOLは静的な立体構造を詳しく読み、リガンド結合部位、相互作用、表面、構造比較を見やすい図として表現することに向いている。

この演習では、Adenylate kinase (AdK) の構造を題材に、PDBから構造を取得し、リガンド結合部位、周辺残基、表面、構造変化を観察する。最後には、PyMOL session、scene、画像を保存し、自分の構造解釈を再現可能な形で残せるようになることを目指す。

PyMOLでもDCDなどのトラジェクトリを読み込むことはできるが、この演習では主題にしない。MDトラジェクトリの観察は、VMDチュートリアルで扱う。ここでは、1枚または少数の構造から「何が見えるか」「どのように見せるか」を重視する。

PDBと構造ファイル形式

PyMOLで構造を開く前に、まずPDBという言葉の意味を整理しておく。PDBは、文脈によって2つの意味で使われる。

  1. Protein Data Bank: タンパク質、核酸、複合体などの立体構造を集めた公共データベース。
  2. PDB形式: 原子座標を保存する古いテキストファイル形式。拡張子は .pdb

Protein Data Bankには、各構造に 1AKE4DX5 のような4文字のPDB IDが付いている。PyMOLの fetch 1ake は、「Protein Data BankからPDB ID 1AKE の構造を取得する」という意味である。

構造ファイルには、主に以下の情報が入っている。

  1. 原子の名前。
  2. 残基名と残基番号。
  3. 鎖ID。
  4. 原子のx, y, z座標。