松永康佑

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2026年5月10日 改訂


目次

はじめに

VMD (Visual Molecular Dynamics) は、分子構造と分子動力学シミュレーションのトラジェクトリを可視化・解析するためのソフトウェアである。静的なPDB構造を眺めるだけでなく、DCDなどのトラジェクトリファイルを読み込み、タンパク質の構造変化、リガンド周辺の相互作用、ドメイン運動、RMSDなどを観察できる点が大きな特徴である。

この演習では、Adenylate kinase (AdK) の構造と短いMDトラジェクトリを題材にする。最初はGUIで分子を表示し、次にatom selectionで見たい原子だけを選び、最後にトラジェクトリを重ね合わせて「分子がどう動いたか」を自分の言葉で説明できるようになることを目指す。

DCDは座標の時系列を保存する代表的なトラジェクトリ形式であり、VMDだけでなく、PyMOL、MDAnalysis、MDTrajなど多くの可視化・解析ソフトウェアで扱える。ただし、DCDには原子名・残基名・結合情報などが十分に含まれないため、PDB、PSF、prmtopなどの構造・トポロジー情報を持つファイルと組み合わせて読み込む必要がある。

90分の到達目標

この演習が終わるまでに、次のことができるようになることを目標にする。

  1. VMDでPDBファイルとDCDファイルを読み込める。
  2. 表示スタイルを切り替え、タンパク質全体、リガンド、リガンド周辺残基を見分けられる。
  3. proteinresname AP5within 5 of ... などのatom selectionを使って、見たい部分を選べる。
  4. トラジェクトリを再生し、分子全体の並進・回転と内部構造変化を区別できる。
  5. タンパク質を重ね合わせ、RMSDやドメイン間距離を使って構造変化を簡単に定量化できる。
  6. VMD state、画像、必要に応じて動画を保存し、自分の解析を再現できる形で残せる。

90分の進め方

  1. 0-10分: VMDとDCDの役割を理解する。